残りの飯をにぎりめしにしながら、考え事をしていた。
もし、目が覚めたとき娘と会えなくなるなら、自分は何か後悔するだろう。
こう思わないように、毎日そういうことを忘れずに生きていかないといけないのにそれができない腹立たしさがさらに怒りを掻き立ててくる。
寝る。
起きる。朝である。
「デートでもしてたら?」
娘にそんなことを言われ、夫婦で出かける。
デート、安産祈願デートだ。
私「なにかある。」
夫「・・・・・・」
私「なにかでかい丸がある」
夫「・・・・・・」
私「なんだこれは・・・(近づいて見ている)」
夫「・・・・・・(私の後ろで見ている)」
私「なんかすごく難しいな・・・」
夫「・・・おぅ、むずかしいな・・・」
私「漢字が読めない・・・あと字がふにゃふにゃで読めない・・・」
夫「・・・・・・・・・(てくてく)」
私「・・・!!やってるし!」
知らないおじさん「・・・・・・」
私「・・・!!!」
夫は知らないおじさんと一緒に、でかいこの輪をくぐりはじめた。
何をやっているのか、わからなくなってきて、私もやっておいた。
これは、一体なんだろうか。
安産祈願をすませ、歩いていると小川があった。
夫は座って川を見ている。
私は川の中に入ってみた。
じゃぶじゃぶ。
じゃぶじゃぶ。
ガウチョのすそがびしゃびしゃにぬれている。
どうでもいい。
足に何かがひっかかった。
水草をもって小川をすすんでいると、まき貝のようなものを発見した。
貝の殻のようなものが、石の上に並べられている。
抜け殻のようだ。
注意書きを発見した。
やっと、夫がボーっと座っている場所までたどり着いた。
私「みてーーーー草!」
夫「・・・・・・・」
私「みてーーーーーーーー貝!」
夫「それ、蛍のえさやな」
私「とったらあかんって書いてあったで!」
夫「あかんで」
私「・・・・・・」
娘よ。これが、デートの一部始終である。
夕方になる。
この日はとても夕飯が作りたくない日だった。
昨日も、夕飯が作りたくない日だった。
一昨日も、夕飯が作りたくない日だったかもしれない。
「夕飯トマトでいい?」
人に聞きたくなる。
リコーダーをどこにおいたのか忘れた娘が、
私にリコーダーを探してくれと言っている。
いやである。
探してくれと言ってくる。
いやである。
探してくれ!と言ってくる。
いやである。
家族が座って、食べ物が出てくるのを待っている。
私も座って待っている。
何も起こらない。
私は、座っていても何も起こらないことを知っている。
みんな座っている。気が狂いそうだ。
ふと、こんなことが頭にうかんだ。
鳴かぬなら?
限界だ、何も思いつかない。
つぶやいてみた。
すばらしい。
私はやる気になつた。
猫トマト。
こだま汁だ。
家族は特に何も言わずに夕飯を食べて、
ドバイの日本妻を見ていた。
こんな日があった。
気分は、普通だ。
娘に言った。
「また、ホタル見に行こう。」
娘は言った。
「そうそう、あのジングルベル~♪おもしろかったなぁ~。」
娘はニコニコしながら、おやすみ~と言って、寝に行った。
また、明日がくる。
もかり